コンパッションによる変容のためのアクション:意図の設定

今回は、
コンパッションによる変容のための4つのステップについて、少し書いてみます(「コンパッション〜恐れなき心〜」より)

コンパッションによる変容は、次の4つのステップからなっています。

1)  明確な意図を持つ(認識)
2)  自らの経験に注意を払う(気づきーマインドフルネス)
3)自分への思いやりを育成する(共感能力、ハートの訓練)
4)関心を向ける対象の輪を、自分以外の他者、そして全ての人類に拡大する 

今回は、その一つ目のステップについて、少し案内します。

1)明確な意図を持つ(意図の設定と振り返り) エクササイズ:

これには二つのステップがあります。

(1)意図の設定:朝イチに行います(2〜3分)

 この意図はその日の気分、思考、感情にも影響を与えるのでとても大切です。

 朝一番に意図を設定することで、その日の方向が決まります。

 やりかたは、2〜3度深呼吸して、次のように問いかけます。

「私が心から大切にしているものは何だろう? 
 自分自身や愛する人たち、そして世界のために、心の底から望んでいるのはどんなことなのか?」

 即答できなくても、この質問によって、意識が答えを探し始めています。

答えが降りてきたら、あるがままに受け止め、その考えやフィーリングを心に留めます。

最後にその日のためにいくつかの意図を明確に意識して、その日のテーマとします。

 慣れると1分以内でできるようになります。

そして、その日一日、いつでも自分の意図を確認するようにします。 

実践例:

ある医師は、次の外来患者を診る直前に、手を洗う時間を使って意図確認すると、より心が落ち着き、目の前の患者に集中できるようになりました。 

意図を想起することで、心のリセットをすることができるようになりました。  

その1日が終わったら、これは寝る前に行います。

(2)1日の振り返り:

寝る前に、ざっとその日に起きたことを振り返ってから、朝の意図を設定した時の心境に戻ります。

1日の初めと終わりで、どれほどの一致と違いがあるかを確認します。
 包括的に、朝の意図とその日の行動がシンクロしていたかを見ます。
最後に、その日自分がした好ましいことについて考えます。(3〜5分) 

寝る時の意識は、寝ている間中にも、意識の中に止まりますので、寝る前に、楽しいことや感謝などを思い浮かべるのは大切なことです。

意図の設定と喜びに満ちた振り返りで1日を組み立てることで、自分の人生を主体的に生きることができるようになります。

 自分への気づき、意図の自覚、的を絞った努力という三つの心の習慣づけによって、生き方に変化が起きてくるでしょう。  

実例(成功事例) 
1)ネルソン・マンデラ:
南アフリカ共和国がアパルトヘイト制度から自由に移行したのは、ネルソン・マンデラの非暴力、人種間の調和、正義へのコミットメントが、新しい祖国を築くという意図を生み出しました。
意図を何度も再設定し、献身的な内省に従って自らを強くしてきた結果起きたことです。

2)孫を持つ60代の女性:フルタイムで仕事を続けていたが、本当はもっと孫と遊ぶ時間が欲しいと思いました。

慈悲と慈愛を自分に向けるという意図を持って、雇い主に労働時間を減らして欲しいと告げることで、雇い主も、孫も自分もハッピーになりました。

彼女はそれまでの人生で、いつも誰かの犠牲になっていて、自分の価値観に忠実ではなかったことに気づき、自分の人生を変えることができたのです。 

意図の設定には、たとえそれが小さなことであっても、とても大きな影響を及ぼすものであり、このような、数えきれない多くの例がある。

コンパッションの実践の一つに取り入れてみてください。

明日のコンパッション実践会でお会いすること、楽しみにしています。

https://compassioneducation.jp/schedule#practice

えたに
OAU