前回は、コンパッションは孤独への
バッファー(緩衝材)になるというお話をしました。
今回は「コンパッションは回復⼒=レジリエンスをもたらす
パワフルな要因となる」ということについてお話します。
「回復力=レジリエンス」という言葉を
最近よく目にする(耳にする)ことが多くなりました。
レジリエンス(resilience)とは、
病気・不幸・困難・苦境などからの回復力、
立ち直る力、復活力
という意味があります。
もともとは物理学の用語で、
ストレス(ゆがみ、ひずみ)からの
レジリエンス(回復力、復元力、弾力性)
という意味があります。
それが最近注目されるようになったのは、
とりわけ、コロナのパンデミックなどが
社会にもたらした状況が影響しているようです。
ビジネスなどの現場で、ストレスに対する抵抗力、
という意味で使われていましたが、
パンデミックによるロックダウンなどにより、
一般のより多くの人々が強い不安を感じることで、
うつ症状が現れることなどが多くなりました。
そこで、そのようなストレスへの防御要因
つまり、レジリエンスについての研究がなされました。
なぜなら、レジリエンスを高めることで
極度の不安に陥ったり、うつなどになることを
防ぐことができるからです。
それらの研究の結果、
レジリエンス(回復力)を発揮する要因として、
次のような要素があると考えられています。
● 将来を楽観的に考えられる力
● 冷静に物事をとらえられる力
● 他人を思いやる力
● 好奇心、興味
● やりがい
● 生きがい
などなど。
コロナの状況においては、
とりわけ医療現場において、
コンパッションのトレーニングが役立てられると共に、
コンパッションを実践している人は
レジリエンスが高いということもわかってきました。
それもそのはず、
コンパッションのなかには、
レジリエンスを発揮するための要素が
多く含まれていたからです。
コンパッションのトレーニングでは、
● 人が(自分も含む)幸せになること、
良きことが起こることを願い、
● マインドフルネスで、中心に定まり、
● 他の人を思いやり、
● コンパッションを価値基準とすることで
やりがいや生きがいを感じることができるからです。
さらに、コンパッションでは、
⾃分にフォーカスするという
⾃分の殻から⼀歩踏み出し、
⾃分を超えて他の誰かとつながります。
そして、⾃分の経験と状況を
同胞意識という観点からものごとを
⾒ることができるようになります。
⾃分にフォーカスした⾒たからだけ⾒ていると、
自分にはとても無理、と思えることでも、
同胞意識という観点から ⾒ると、
これまでとは全く違った⽬で⾒ることができるようになります。
⼀⼈ぼっちで対処しなければならないという感覚がなくなり、
⾃分の中に余裕が⽣まれます。
そこから、
また別の視点が可能になってきます。
そうすることで、回復⼒や勇気も⽣まれてきます。
それもコンパッションがもたらす⼤きな要因です。
CEI
えたに