コンパッションの科学的定義

「コンパッション」とひとことで言っても、
それが何を意味するかは人それぞれです。

それ以前の問題として、

日本では、そもそも
「コンパッション」という言葉が、
一般的には知られていないようです。

「コンパッション育成トレーニング」
(CCT)について説明しようとして、

誰からも最初に聞かれたのが、

「コンパッション? 何ですかそれ?」

という質問でした。

そんなにも「コンパッション」という言葉は
知られていないのか、と認識を改めました。

これからは、
この言葉が普通に日本語として
通じるようになればと思っています。

なぜかというと、

このコンパッションという言葉を
日本語に訳すのはひと苦労だからです。

文脈によって訳語が異なる場合もあるし、

「コンパッション」という言葉のニュアンスは
そのまま「コンパッション」としか
言いようがないところがあるからです。

「ラブ」なら、「愛」と訳しておけば
大抵は問題ないのですが、

「コンパッション」の場合、
そのニュアンスを伝えるためには、
「コンパッション」をコンパッションとして
理解してもらうしかないところがあります。


「コンパッション」の言葉の意味は
辞書によってもまちまちです。

一般には、

慈悲心、思いやりと訳されていますが、

他にも、

同情、哀れみ、心の優しさ、
温情、情け深い

などのさまざまな意味が記載されています。

これに対して、

CCTで教えられている「コンパッション」は
科学的な根拠に基づいた、
明確な定義がなされています。

私は、CCTでコンパッションについて学ぶまでは、

宗教的、道徳的な言葉で、
仏陀の慈悲や、
キリストの愛、
道徳的、倫理的な意味での
思いやりや同情心、哀れみのようなもの、

と漠然と考えていました。

しかし、CCTでは、
その言葉について科学的な考察がなされ、
定義にも科学的な裏付けがなされています。

科学的に定義することによって
それを様々な実験や観察、MRIなどによって
検証することが可能になるからです。

それだけではなく、

宗教や道徳や倫理などとも区別されています。

宗教が違えばその定義は様々です。

仏教、キリスト教、イスラム教を始めとして、
世界には様々な宗教がありますし、
宗派の違いまで入れると、膨大です。

現在生じている戦争のほとんどは
宗教戦争によるものだといわれているぐらいなので、
宗教的な定義付けをすれば、それだけでも大変です。


しかしCCTでは、より普遍的な、
科学的なものとして定義されています。

ですから、

宗教が違うからその定義は受け入れられないとか、
無宗教だから自分には関係ない、

というものではありません。

コンパッションというのは、

人間性そのものに基づいた、

誰もが普遍的に持っているものである、
ということが科学的に検証されているのです。


そしてこの世界では、

誰もが愛の必要性を感じ、
ケアーを必要としています。

そして人間であれば誰しもが、
苦しみに直面することがあります。
助けを必要とするときもあります。

そんな苦しみや困難に直面している人を見れば、
誰もが共感し、つながりを感じ、
そのひとのために何かをしてあげたいと思うものです。

そしてそのための行動を起こします。

実際には、

そのような困難な状況に直面している人を見れば、
即座にそのように認識して、感じて
そのように行動するものです、


しかしそれを分析して、観察すると、

認知的側面と感情的側面、
動機的な側面と行動的な側面があります。

認知的側面というのは、
ある人が苦しみの状態にあるということを認知し、
その状況を認知的に把握することです。

感情的的側面というのは、
共感を覚えることをいいます。

それは相手と平等な立場で共感することで、
自分を相手よりも優位な立場で感じる
同情や哀れみとは区別されます。

そしてコンパッションが、
単なる共感と異なるのは、

単に共感を感じるだけではなく、
さらにその人の苦しみを
なんとかしてあげたいと思う
動機づけとなり、

そしてさらに、
そのための行動をします。

CCTでの「コンパッション」の定義というのは、
それらの4つの要素を含むものとして考えられています。

このように、

コンパッションを科学的に研究して、
それを教育のプログラムとして提供しているのが

「コンパッション育成トレーニング」(CCT)です。
https://bit.ly/3C0bsSx

このたび、そのコンパッションを体験する機会として

「コンパッション実践会」を
3回のシリーズとして開催することを企画しました。

無料のZoomで提供されます。

興味のある方はご参加ください。
https://bit.ly/3hnHXT0

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