スタンフォードの「コンパッション育成トレーニング」(CCT )
は、どのように作られたのか?
について、「コンパッション」の本から読み解いていきましょう。
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ことの始まりは2007年年冬、神経外科医ジム・ドティ博士が、ジンパ博士に、「コンパッションなどの利他的行動の背後にある動機を科学的に探ることに興味があるか」と訊ねたことから始まります。
ジム・ドティ博士は、「スタンフォードの脳外科医が教わった人生の扉を開く最強のマジック」という世界的なベストセラーの本の著者でもあります(日本語翻訳あり)。
この本は、ダニエル・ゴールマン(『EQ こころの知能指数』)、チャディー・メン・タン(Googleの『サーチ・インサイド・ユアセルフ』)、ダライ・ラマ14世、マチウ・リカール(世界一幸せな人)、ジョン・カバット・ジン(MITマインドフルセンター所長)などの錚々たるメンバーが絶賛している、感動と驚きの実話です。
「科学がついに心に追いついた! 貧困と家庭崩壊から少年が「理想の未来」を取り戻すまで「マインドフルネス」があなたの人生を変える」という解説がされています。
それはともかく、その本の著者のドティ博士がジンパ博士を誘ってできたのが、スタンフォード大学慈悲利他研究教育センター(CCARE)であり、そこではじめて、科学的な見地からコンパッション研究を行えるようになったのです。そして、ジンパ博士はスタンフォード大学の客員教授として、コンパッションを育成する訓練の開発に携わることになったのです。
そして、ジンパ博士は三人の専門家の協力を得て、このプログラムを作り上げることになります。
その3人とは、スタンフォードの講師で、著名なヨガと瞑想の指導者ケリー・マクゴニガル(日本でも「シタンフォードの自分を変える授業」という60万部のベストセラーがある)、結婚・家族問題のセラピストで、マインドフルネスの正規指導者マーガレット・カレン、感情の研究者で瞑想指導者エリカ・ローゼンバーグというそうそうたるメンバーでした。
最初の頃は、この3人の協力者の人たちがCCT の第一期シニア・インストラクターとなって、「コンパッション育成トレーニング」を教えていました。
その後、公認インストラクターは現在では180人以上になっていますが、公認インストラクターになるには、毎年1000人前後の応募者の中から55人ほどしか合格しない狭き門で、1年間のトレーニングを受ける必要があります。
そのCCT は、最初の頃は、スタンフォード大学の学部生やパロ・アルト、サンフランシスコ湾の近隣住民、がん患者支援ネットワークから退役軍人向けPTSD 在宅治療センター、サンディエゴの大手民間ヘルスケア・グループからグーグルのエンジニア、そしてスタンフォード・ビジネス・スクールの学生など、多種多様な参加者が受講していました。
アメリカではでは「コンパッション育成トレーニング」(CCT)は、スタンフォード大学をはじめとする大学機関や、医療機関などに取り入れられ、慈悲と思いやりに満ちた社会をつくることを理念に、一般の人たちにも普及しているトレーニングです。今では、公認インストラクターが世界中の国々で教え始めています。
ダライ・ラマは、「良い食事と適度な運動が健康な身体には不可欠だと世界中の人々が知っているように、いつの日か、健全な精神と幸福な人生にはメンタルケアと訓練が不可欠だと世界が気づく日が来るだろう」というふうに語っています。
「コンパッション育成トレーニング」は、まさにそのような、健全な精神と幸福な人生(ウエルネス)のためのメンタルケアと訓練のためのコースと言えそうです。
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