運命を生きる

あけましておめでとうございます

元日は地元の氏神神社である
甘縄神社にお参りしました。

この神社が好きなのは、
お正月の三が日にはお社の中にまで入れてくれるのです。

なので、その中にお祭りしている鏡にご対面して
お参りできるのです。

以前はそこでお屠蘇を振る舞っていもらえたのですが、
最近はコロナのおかげでそれがなくなったのは
寂しい限りです。

この神社は由緒正しくて、西暦710年創建で、
御祭神は天照大神さんです。

それはともかく、

現在、2022年の春に出版を予定している
トゥプテン・ジンパ博士の著書
「怖れなき心 慈悲心を持つ勇気が人生を変える」の校正を
しているのですが、

ジンパ氏は、運命に導かれてこの仕事をしているのだな
ということがよくわかります。

彼の両親は中国のチベット支配によって難民となり
ジンパ氏はチベット難民の子供として、インド北部に
あったチベット難民の子どもたちのためのホームにいました。

6歳のときに、そこにダライ・ラマが訪問し、そのとき彼は、
ダライ・ラマが学校内を巡るときに一緒に歩く子供たちの一人として
選ばれます。

ダライ・ラマと手をつないで歩きながら彼は、

「僕もお坊様になれますか?」と訊ねました。

ダライ・ラマはそんな彼に、

「よく勉強すれば、いつでも好きな時にお坊さんになれるよ」
と答えました。

その後彼は、11歳のときに家族の反対を押し切って、お坊さんになり、
1985年、インド北部のダラムサラで行われるダライ・ラマの講義に参加します。

そのとき英語の通訳が初日来れないことになり、
ジンパ氏が急遽ピンチヒッターとして英語の通訳をすることになりました。

そして、数日後、ダライ・ラマから呼び出しがあり、
出張の際に通訳として同行してもらえないか、と持ちかけられます。

それ以来30年以上に渡り、ダライ・ラマの筆頭通訳を務めることになりました。

そのときにダライ・ラマから提案された条件は、専任職員にはしないということでした。

それはジンパ氏の僧侶としての教育や才能を台無しにしないため
ということであり、その代わり、自分の研究に集中し、
学びに一生を捧げて独自の道を歩むようにという
ダライ・ラマからの配慮でもあったのです。

そのようにして彼は、僧院育ちにして
英語と欧米文化に馴染んでいくという人生を歩むことになります。

当時、古典仏教の伝統的訓練を受けた人々の中で英語ができる人材は少なく、
英語力の向上に伴い、ジンパ氏は、愛する二つの文化の
インターフェイスという特別な役割に目覚めていきました。

そして、この役割をよりよく満たしたいという動機から、
イギリスのケンブリッジ大学に進学します。

そうして彼は、ダライ・ラマに仕え、
主要なチベット経典の英訳といった文化の橋渡しとしてのキャリアを築きながら、
古典的チベット仏教の伝統と、現代社会の哲学や文化、科学の融合としての仕事をしていきます。

そのなかでジンパ氏は、自分の運命とは古典的チベット仏教の伝統を
現代の世界に伝える伝道師となることだと考えるようになりました

この「恐れなき心」という本もまた、
異文化の解釈という大きなテーマの一環として書かれたものです。

このような彼の人生のプロセスの中で、CCTが誕生します。

CCTは2007年冬、ジンパ氏が神経外科医ジム・ドティと出会ったときに始まりました。

ジム氏が、慈悲心などの利他的行動の背後にある動機を科学的に探るため、
あらゆる分野の専門家が一堂に会するフォーラムをつくろうとしていたところで、ジンパ氏に声がかかったのです。

その結果生まれたのがスタンフォード大学慈悲利他研究教育センター(CCARE)でした。

そこで、既存の科学の枠組みの中で正面から慈悲研究を行えるようになり、
ジンパ氏はスタンフォード大学の客員教授として、
慈悲心を育成する訓練の開発に携わることになったのです。

その結果誕生したのがCCTです。
https://compassioneducation.jp/

訓練をより包括的な内容にするため、スタンフォードの講師で、
著名なヨガと瞑想の指導者ケリー・マクゴニガル、結婚・家族問題の
セラピストで、マインドフルネスの正規指導者マーガレット・カレン、
感情の研究者で瞑想指導者エリカ・ローゼンバーグたちが、
CCTの第一期シニア・インストラクターとなります。

のちにモニカ・ハンソンとリア・ワイズが加わり、
CCTの包括的指導者育成コースが作り上げられました。

ジンパ氏は、チベットの難民の子供としての数奇な人生の中で多くの出会いの中で、

僧侶でありながら西洋の文化に触れ、英語を学ぶ機会に恵まれ、
偶然のできごとからダライ・ラマの専属の通訳を務めることになりました。

そのなかで、東洋の霊性の伝統を体験し、西洋の最先端の科学に触れることのなかから、
それらを融合するものとして CCTが生まれたのです。

スタンフォード大学の卒業式で話された、
アップルの元CEOのスティーブ・ジョブズの点と線の話は有名ですが、

そのと時々に生じた点のような経験が、
最後には線となってつながってきます。

その線がその人の運命となって、人生に形となって現れてきます。

それはその人の人生のテーマともいうべきものです。

年のはじめになすべきこととして、その年になすべきテーマを決める
ということがありますが、

このような本を読むと、

自分の人生のテーマとは何か?

自分の運命とはなにかということを考えさせられます。

あなたにとっての、あなたの運命は何ですか?

今日という日は、

そんな自分の人生のテーマに思いをはせるにはいい日かもしれません。

それでは、よいお正月を!

OAU
えたに