オープン・ハートが人生を築く:慈愛の瞑想がもたらすポジティブな感情が、結果的に個人的な資源を養う

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3156028/

概要

B.L. Fredrickson(1998, 2001)のポジティブ感情の拡大・構築理論(broaden-and-build theory of positive emotions)は、人々の日々のポジティブな感情の体験は、時間の経過とともに複合化し、結果としてさまざまな個人的資源を構築すると主張している。
著者らは、社会人(n=139)を対象としたフィールド実験において、この構築仮説を検証した。
その結果、慈愛の瞑想の実践によって、肯定的な感情の日々の体験が時間とともに増加し、さまざまな個人的資源(マインドフルネス、生きがい、社会的支援、病気の症状の減少など)が増加した。
こうした個人的資源の増加は、生活満足度の向上と抑うつ症状の軽減につながると予測される。
考察の中心は、ここで研究されたタイプのマインド・トレーニングの実践において、いかにポジティブな感情が変化のメカニズムとして機能するか、そして、いかに慈愛の瞑想がヘドニック・トレッドミル理論を凌駕する形でポジティブな感情を生み出すことのできる介入戦略であるかというところである。
※ヘドニック・トレッドミル理論とは、例えば宝くじに当たったり、下半身不随になったりといった極端な状況も含めて、私たちの幸福度は一時的に変化したとしても、すぐに一定の感情のセットポイントに戻るというもの。