概要
目的
慢性疼痛に対する安全で効果的な治療法のニーズが高まっており、マインドボディ・アプローチが注目されている。本研究では、マインドフルネスと慈悲の瞑想を取り入れた一般的なトレーニングプログラムが、慢性的な痛みに苦しむ人々の特定の状態に有意な影響を与えるかどうかを調査した。慢性疼痛を持つ参加者に対する思いやりのトレーニングの影響が、彼らの身近にいる「重要な他者」に気付かれるかどうか、加えて彼ら自身がトレーニングを受けなくても、彼らに恩恵をもたらすかどうかを検討する。
仮説
第一の仮説は、このトレーニングによって、慢性疼痛を持つ参加者の痛みの程度が軽減されるというものであった。また、痛みの干渉、怒り、感情的苦痛が減少し、痛みの受容、心理的幸福、思いやりが増加することも期待された。さらに、重要な他者の幸福の向上も期待された。
方法
慢性疼痛を持つ参加者は、9週間のcompassion cultivationトレーニングコースに参加し、コース前後でアンケートとインタビューに回答した。最終分析には、12名の慢性疼痛を持つ参加者が含まれた(女性10名、平均値)
結果
年齢=48.33、SD=10.80)、および重要な他者(女性3名、平均年齢=49.17、SD=11.48)である。測定されたアウトカムのうち、痛みの重症度(p=.003)と怒り(p=.014)は経時的に有意に減少し、幸福度の構成要素(Ryff Environmental Mastery(p=.003)とRyff Self-Acceptance(p=.028))は慢性痛の参加者で経時的に有意に増加した。重要な他者には有意な差はなかったが、怒りの軽減の傾向がみられた。
結論
これらの結果は、慢性疼痛に対する思いやりのトレーニングの潜在的な利益を示唆し、Carsonら1による発見の一部を再現した。これはパイロットスタディであり、成果をさらに調査するために、より大きな動力を用いた、よりコントロールされた研究が必要である。
(1. Carson, JW, et al. Loving-kindness meditation for chronic low back pain.慢性腰痛に対する慈愛の瞑想。パイロット試験の結果、2005年)
https://www.jpain.org/article/S1526-5900(14)00507-0/fulltext