概要
背景
慢性疼痛の転帰の重要な予測因子として怒りが浮上していることから、怒りを標的とした治療が慢性疼痛の状況下で特に有用である可能性が示唆される。東洋の伝統では、持続的な怒りを治療するために慈悲の心を養うことを処方している。
慈愛の修養は、感情的・身体的不快感の文脈で、感情処理に影響を与え、否定性バイアスを減少させることが示されており、痛みと怒りに対する二重治療として有益であることが示唆されている。
目的
慢性疼痛における9週間のグループ同情育成介入のパイロットスタディを実施し、痛みの重症度、怒り、痛みの受容、痛み関連の干渉に対する効果を検討すること。
また、患者の重要な他者から提供された観察者評価と介入の副次的効果についても記述すること。
方法
被験者内待機リスト対照期間を含む反復測定デザインによるパイロット臨床試験。
12名の慢性疼痛患者が介入を完了した(F = 10)。データは、登録時、治療前、治療後の患者から収集された。参加者の重要な他者は、登録時と治療後の時点のデータを提供してくれた。
成人51名の9週間の慈悲の瞑想プログラム(CCT)中の日常経験サンプリングを用いる。
結果
女性が多いこのサンプルでは、患者は治療前と比較して治療後では痛みの重症度と怒りが有意に減少し、痛みの受容が増加した。重要な他の質的データは、痛みの重症度と怒りの減少に関する患者の報告を裏付けた。
結論
慈悲の瞑想は、痛みの重症度と怒りを軽減し、慢性的な痛みの受容を高めるために有用な補助的治療法である可能性がある。患者が報告した怒りの軽減は、重要な他者によっても裏付けされた。重要な他者による裏付けは、文献への新しい貢献を提供し、思いやり介入後に生じた患者参加者の観察可能な感情および行動の変化を強調する。今後の研究では、慢性疼痛という状況下で、怒りの軽減が自己および他者との関係にどのような影響を与えるかをさらに検討することが期待される。
https://jcompassionatehc.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40639-014-0004-x?report=reader