マインドフルネスと慈悲の瞑想の実践が加齢に及ぼす保護効果。仮説、モデル、実験的実施

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34718153/

概要

アルツハイマー病(AD)は、健康および社会にとって大きな問題であり、現在までに治療法はなく、この疾患の根底にある病態生理学的メカニズムは十分に理解されていない。しかし、非薬物療法的な予防介入による生活習慣の改善に基づく予防策によって、ADの危険因子、ひいてはAD患者数を大幅に減少させることができると期待されている。これまでのところ、これらの介入は、加齢に伴い蔓延するうつ病、ストレス、不安、孤独感などに関する心理・情動の危険因子を対象としたものはほとんどない。
本論文では、高齢者におけるマインドフルネス瞑想(MM)および愛と慈しみの瞑想(LKCM)の定期的な実践が、ADに対して保護的なライフスタイルを構成するという仮説を提示する。
このモデルでは、これらの実践は、注意の制御、メタ認知のモニタリング、感情の調節、親社会的能力を強化することにより、認知、精神的健康、幸福を促進することができる。これらの能力を訓練することで、認知予備能などの有益な加齢関連因子をアップレギュレートし、ストレスやうつ病などの有害な加齢関連因子をダウンレギュレートすることにより、ADリスクを低減することができる。その一例として、高齢者における瞑想を含む非薬物療法の影響とメカニズムを評価する欧州の進行中のプロジェクト、Medit-Ageing研究(一般名Silver Santé Study)を紹介する。